なぜ描くのか、という話
みんななんで絵描いてるんですか
とかあんまり聞かないよね
だってまあどうでもいいものね。
そうせずにいられない。
抗えない衝動。
好きなのかしら、楽しいのかしら。
少なくとも私にはひとつ明確な理由がある。
いろいろなこと置き去りにしてこれは私の精神の話。なぜ私が身体に模様を描くのか。
ボディペイントをしていて、たまに「どうしてやろうと思ったのか」と聞かれる
明確な答えはひとつで、「自分が嫌いだから」
私は自意識が過剰で、そのために容姿も内面も、自分を構成するあらゆるものが嫌いでたまらなかった。
弱く汚い肌も、整わない顔も、くせのある髪も、浮いて感じる声も、女性性を満たせない胸も、優しくなく柔軟でない性格も、すべてが嫌いだから。
だから、美しさに憧れてやまなかった。
どうしてもどうしてもどうしても美しくなりたくて。美しくありたくて。諦められなくて。
ペイントは私にとっての仮面で、被服で、化粧だ。
内容に意味なんてなくて
ただただ美しいものをつくりたいだけだ。
美しくなりたいだけだ。
露出ができなかった。
写真にも写らない。写させない。
すべてが恥ずかしくてたまらないから。
身体に描いているときの自分は、唯一「他人に提示すること」を許せる自分。
だから写真に写ることができるし、人前でも身体になら描くことができる。
あいつの顔よりはマシ、あいつよりはうまい、そんなことだって思えてしまうけれど
私が欲しいのは絶対的な美しさだ。
相対的なものなんて瞬間で消えてしまうだろ。
つまり全部ぜんぶ自分のため。
好きか嫌いかで言われたら好きだけど
楽しい瞬間も幸福な瞬間もあるけれど
苦しくて苦しくて満たされないから描いているのよ
自分が嫌いで殺したくなったり捨てたくなったりする
でもこれは、自分が自分のままで美しくあるための闘いだ
mi.